DivaSystem
連結会計システムの統合で業務効率化と戦略的なデータ活用を実現。
航空・海上貨物輸送、ロジスティクスなど幅広いサービスを全世界で展開する国際総合物流企業のK社様では、制度連結と管理連結で二重化していた連結会計システムを「DivaSystem」に一元化。「制管一致」によってコストと業務負担を大幅に削減するとともに、高精度のデータ分析に基づいた迅速な経営判断につなげています。
K社様では、制度連結のシステムとして約10年前からディーバ社の「DivaSystem」を導入して四半期ごとの連結決算を行う一方、予実管理や月次PL連結、IR資料の作成などの管理連結にはオラクル社の「HyperionEnterprise」を使用していました。
しかし近年、この「二重システム」の抱えるさまざまな問題点が顕在化していました。
例えば、本社側では、システムのハード・ソフトを二重にメンテナンスする費用やこれに関わる人件費などコスト面の問題がありました。さらに制度連結と管理連結のデータが完全に分断されていたため、予実対比の分析や経営管理資料の作成では、担当者が双方のシステムからデータを抽出。転記しながらExcelで作成するという煩雑さがありました。
一方、会計データを送る約60の子会社・拠点側にも、2つのシステムそれぞれに対応してデータを用意しなければならないなど、業務の非効率が発生していました。
こうした背景から2012年12月、K社様は「二重化した連結会計システムの一元化」をBBSに依頼。これを受けて、BBSでは管理連結にも対応可能なDivaSystemの最新バージョンによる一元化を提案し、2013年春から開発プロジェクトがスタートしました。
K社様ではシステムの一元化に合わせて、決算期の統一を念頭に「連結PDCAサイクルの早期化」をめざしていました。
そこで、プロジェクトの推進にあたっては、データを集約する経理部だけでなく、データを利用する経営企画部などにも詳しいヒアリングを実施。業務改善の方向性や新システムで実現すべき要件を明確化していきました
そうして定めた1つ目の要件は、子会社における「二重のデータ入力業務をなくす」ことでした。従来、各子会社にはデータを入力するExcelパッケージがシステムごとに2種類用意され、入力後は別々の送付先にFTPシステムおよび電子メールで送信していましたが、2つのパッケージには内容的に重複するシートが複数ありました。制度連結では開示用の科目体系に合わせたBS、PLを四半期ごとに収集しますが、管理連結では毎月PLを収集するため、子会社は四半期決算月(6・9・12・3月)には同様のPLを2度作成する必要があり、担当者にとって負担の大きい作業となっていたのです。
この重複作業をなくすため、DivaSystemのマスタ設定によって管理連結の月次PLを積み上げることで制度連結用のPLを自動的に作成できるようにし、さらに内部取引データも月次で収集することにして月次連結の精度を向上させました。
もう1つの大きな要件は、本社側の負担となっていたExcelパッケージの取り込みや確認作業の軽減でした。
従来はメールで送られたExcelパッケージを本社側で一つひとつ取り込んでいたため、これが大きな負荷となっていました。
そこでDivaSystemのオンラインデータ収集モジュール「EIGS」を導入し、子会社がデータを直接システムに入力する運用に変更しました。
これにより煩雑な取込作業や管理業務がなくなるとともに、子会社の入力状況や本社の取込状況も進捗管理画面で確認できるようになりました。
EIGSは従来のExcelパッケージをそのままオンライン入力画面として利用できるため、子会社が従来の運用方法を変えずに入力できることも大きなメリットでした。
また、オンライン化によって本社側のチェック業務も大幅に軽減できました。従来のパッケージはつくり込みやチェック機能が十分ではなかったため、本社側での内容確認やデータの整合性チェックに多大な時間を要していましたが、子会社側でデータチェックを行うように業務フローを変更したことで、本社側では、整合性のとれたデータから連結処理を開始できるようになり、決算業務がスピードアップしました。
K社様のプロジェクトは2014年3月に完了し、新システムは順調に稼働しています。2013年12月からの予算入力を開始し、2014年6月の第1四半期決算から、この新システムで対応しました。
システム一元化により、経営企画部門等でも、データ抽出の工数削減と分析作業の効率化が実現しています。分析資料や経営管理資料の作成には、DivaSystemのレポーティングツール「Formula-X」を導入し、資料作成に必要な数値情報をデータベースから直接抽出できるようにしたことで、従来の転記作業がなくなっただけでなく、最新データかどうかなどのチェックも不要になり、分析作業に時間をかけられるようになりました。
また、過去データや数値情報以外のデータも容易に抽出が可能になったため、より効率的な分析作業が行えるようになりました。
新システムの活用で連結PDCAサイクルの早期化を進め、グローバルでの戦略展開をさらにスピードアップさせていくK社様。その発展にさらに貢献できるよう、BBSは今後もお客様の視点に立った提案とサポートを続けていきます。
プロジェクトを担当する際に常に心がけているのは、「システムの価値を最大限に引き出す運用を実現する」こと。システムはさまざまな機能を備えていますが、それを業務の効率化に十分に活用されているケースは意外に少ないようです。
私たちは、お客様の業務フローや実現すべき目標を深く理解した上で開発を行い、稼働後もシステムの機能を最大限に活用していただけるようきめ細かなサポートに努めています。